「ダー、タカはどこや?」
「マネージャーはキャッシャの裏で寝てます」
なんとタカは酔いつぶれてキャッシャーの裏で寝てしまっていたのである。
「起こしてこい、起きなきゃ1本はお前のおごりやでってゆぅてきてくれ」
暫らくしてダーが戻ってきた。
「1本自分が出しますから許して下さいってゆぅてはります」
ダーの顔にはおかしくて堪らないと言う笑顔で満ち溢れていた。
時計を見るともうすでに1時を回っている。
「しゃーないなぁ、カエデ チェックをしてくれ」
チェックの為にカエデは階下のキャッシャーに向かった。
「カゲさん、今日はもう家に帰りはるんですか?」
席にいた女の子が聞いてきた。
「いや、腹が減ったから『リバー』に行こうと思うてる」
「連れてってください♪」
他の女の子たちも口を揃えて言ってきた。
「みんなアフターの約束はないんか?」
「そんなもん無いわ」
考えれば無い、今の今まで私と遊んでいたんだから
「じゃぁ、片付けが終わったら『リバー』においで」
「はーぃ♪」
調子の良い声が返ってきた。
「私もご一緒させてもええ?」
キャッシャーから戻ってきたカエデが計算書を差し出しながら笑顔で言ってきた。
計算書と言っても金額だけが書かれていないメモである。
「うん?少ないんとちゃうか?」
その金額をみると明らかに少ない
「マネージャーに1本分出させます。途中で抜けて勝手に寝たしもうてから・・・・本人が出すゆぅてるし出させたらええんちゃいますか」
カエデの顔は右半分は笑って左半分は怒ってる。
「そやな、今日は酔い潰れたタカへの罰金やな」
そう言って清算を済ませながら
「ほな、片付けが終わったら暇な子は『リバー』においで」
そう言い残して『扇』を出た。
『扇』から『リバー』までは目と鼻の先で途中で迷う心配もない。